大学の聴覚障がい学生支援における補聴援助システム「ロジャー」の効用

 

補聴援助システム「ロジャー」が、大学の聴覚障がい学生支援の現場で、どのように役立っているかを分かりやすく解説しています。

1. 「合理的配慮」により、音環境の改善を考える皆さまへ。

2016年4月に施行された「障害者差別解消法」により、社会のさまざまな場所で「合理的配慮」が求められています。大学現場でも早いところでは1990年代から「障がい学生支援」が行われていましたが、2016年以降多くの大学で「障がい学生支援室」が設立され、障がいを持つ学生さんの支援が増えてきたのです。

 

高校年代までは、特別支援学校など「同じ立場の生徒さん」の中で学んできた学生さんが、大学進学に伴って一般学生と共に学ぶ機会が増えてきます。それまでより広い教室や講堂、それによって先生との物理的な距離も遠くなります。さらにグループミーティングや食堂など大勢の学生さんの声が反響する場所での会話も多くなります。大学では、補聴器 / 人工内耳装用者にとって「言葉の聞き取りが苦手な環境」が多くなるのです。

 

1.距離が遠い

話し手(音源)と聞き手が対面して距離が近ければ問題ありませんが、一般的には 2m を超えると、言葉の聞き取りが難しくなります。


 

2.騒音 / 反響音がある

補聴器 / 人工内耳のマイクロホンが本来聞こえなくてもよい周囲の騒音や反響音まで拾ってしまい言葉の聞き取りを妨げます。


 

3.集団での会話

話し手が多く、あらゆる方向から声が飛び交うグループでの会話は、補聴器 / 人工内耳装用者にとって、最も聞き取りが難しい環境のひとつです。


 

従来まで「大学における聴覚障がい学生支援」の主流は「手話通訳」や「ノートテイク」でした。ノートテイクは、その担当者(ノートテイカー)が聴覚障がい学生の隣に座り、2、3名でルーズリーフ等に要約文を手書きで記入していき、聴覚障がい学生はノートテイカーが書いたノートを横から見ることで情報を得ます。手書きではなくPCで入力する「PCノートテイク」も手法としては同様です。ノートテイカーはボランティアの学生で構成され、必要な技術は支援室の担当者や先輩方の指導により伝達されていき、学生さん同士のチームワークや結束が高まっていったのも事実です。しかし支援数の増加により、「ボランティア学生の募集や教育、シフト調整など支援室の担当者の業務が膨大になる」「聴覚障がい学生が高学年になると、低学年の学生のボランティアでは専門用語についていけない場面もある」などの事例も報告されるようにもなってきたのです。

 

2013年にリリースされた補聴援助システム「ロジャー」は、当初特別支援学校やろう学校への導入が多かったのですが、徐々に大学への導入事例が増えていきます。学生支援室の担当者の方からも「ロジャーのマイク(送信機)を、授業を行う先生方にどう使っていただくか」というお話を多く聞くようになっていきました。PEPNet-Japan(日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク)を主宰する筑波技術大学様、厚生労働省の事業でもあるPHED(障害と高等教育に関するプラットフォーム形成事業)主幹の東京大学様、同じくHEAP(高等教育アクセシビリティプラットフォーム)主幹の京都大学様のリーダーシップもあり、2019年時点では、実に120校以上もの大学でロジャーが導入されるまでになったのです。

 

昨今のコロナ禍においては「ノートテイク」が物理的に難しくなってきたという背景もあり、ますます「ロジャー」の導入を検討されている大学様も増えてきております。

 


 

2020年から2021年間におけるコロナ禍では多くの大学でオンライン授業になり、ますます「デジタル機器による授業」が一般的となりました。その分「現場におけるロジャーの利用」は減りましたが、緊急事態宣言の解除による授業の再開により、再びロジャーの需要が高まってくると考えられます。2024年6月までには「改正障害者差別解消法」の施行も予定され、より多くの現場で「合理的配慮」が求められることが予想されます。

 

各大学の障がい学生支援のご担当者様、学生生活支援のご担当者様におかれましては、改めて「聴覚障がい学生支援に最も有効なシステムであるロジャーの導入」に関するご検討をよろしくお願いしたいと存じます。

 

なお「ヒアリングエイド・ボルテージ・ドットコム」では、ロジャー導入、検討に関する各種ご相談を無料でお受けしております。

ご遠慮なくお問合せ下さい。

 

2. デジタルワイヤレス補聴援助システム「ロジャー」とは。

 

ロジャーは、話し手が使用する「送信機(ワイヤレスマイクロホン)」と、聞き手が使用する「受信機」、教室や会議室などに置く「線音源スピーカー」で構成されるシステムです。ワイヤレスマイクで拾った音声をデジタル無線方式で送信するので、補聴器や人工内耳だけでは言葉の聞き取りが難しい環境でも、よりクリアな「聞こえ」が可能になるのです。


ロジャー 互換性 国内で販売されているほぼ全ての補聴器/人工内耳に対応。しかも、操作はとても簡単。送信機と受信機はボタンひとつで繋がります。 拡張性 ロジャーのワイヤレスマイクから音を届けることのできる、受信機の台数は無制限。送信機も複数台使用できます。さらに既存の音響システムやヒアリングループ、TV会議システム、電子黒板、音声認識アプリなど、さまざまな機器と一緒に利用することができます。
ロジャー 高音質 デジタル無線方式で高音質の音声をとおどけるだけでなく、独自のテクノロジーで騒音を効率的にカットします。 指向性マイクロホン マイクが特定の方向から音を拾うので、聞きたい音がしっかり聞こえます。自動音量調節。周囲の騒音レベルをマイクが常時監視し、自動的に適切な音量に調節します。デジタル騒音抑制。マイクが拾ってしまった騒音も、デジタル処理で取り除きます。

3. 教室も、体育館も、屋外でも。学びの現場で聞こえをサポートします。

4. 送信機も受信機も。必要な機器をさまざまな組合せ方で。

   ロジャー送信機(話し手の方に使用していただき、声をワイヤレスマイクが集音し、難聴者が使う受信機まで送信)
近距離対応マイク  遠距離対応マイク

ロジャー オン

(最新機能搭載の

ワイヤレスマイク)

ロジャー セレクト

(Bluetooth 搭載の

小型マイク)

ロジャー 

テーブルマイクⅡ

(会議専用 卓上置型機)

ロジャー  タッチ

スクリーンマイク

(学校での大ヒット機)

ロジャーパスアラウンド

マイク
(タッチの子機マイク)


   ロジャー受信機(補聴器 / 人工内耳と一緒に使用していただき、送信機から送られる話し手の声を受信)

ロジャー18 / ロジャー19

(フォナック補聴器専用)

ロジャーエックス

(他メーカー補聴器用)

ロジャーネックループ

(耳あな型などの補聴器用)

ロジャーフォーカスⅡ/ Ⅱ-312

(APDにも効果的な受信機


ロジャー17

(A. バイオニクス社人工内耳用)

ロジャー20

(コクレア社人工内耳N7用)

ロジャー14

(コクレア社人工内耳N6用)

ロジャー21

(メドエル社人工内耳用)


   ロジャー周辺機器(ロジャーの機能拡張や、環境整備のための機器)

ロジャー

ウォールパイロット

(教室入口で受信機を自動接続)

ロジャー

チャージングラック

(最大4台の送信機を自動充電)

ロジャー

マルチメディアハブ

(音響機器専用送信機)

ロジャー リピーター

(送受信機間の接続距離を

延長する中継器)


   フォナックDSFシステム(線音源スピーカーにより反響音を抑え、話者の声を聞き取りやすくするシステム)

2022/9/14 新発売

デジマスター用

デスクスタンド

2022/9/14 新発売


(2021/11/06 執筆 2022/08/13 加筆修正 / 妥当性判断)

 

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