大学聴覚障がい学生支援における「ノートテイク / PCテイク」と「補聴援助システム ロジャー」を支援室と利用学生、それぞれの視点で比べてみた

 

長い歴史のある「ノート / PCテイク支援」と、当サイトが推す「補聴援助システム ロジャー導入」のメリット / デメリットを、まとめてみました。ただこの記事は、単に「モノや仕組みの比較表」ではありません。なるべく、今まで筆者が集めた支援室ご担当者や利用学生さんの「リアルな声」を取入れました。

 

ノートテイク / PCテイクとも、それぞれ大勢の方々による運用の歴史があり、我々「ロジャーの導入を推す側」が「デメリット」という表現を用いるのは、関係者の皆さまに対して非常に失礼にもあたり、心苦しい側面もある事をご理解いただいた上で、一検討材料としてご覧いただければ幸いです。

 

【用語】

ノートテイク / PCテイク:以下ノートテイクと略す

テイカー:ノートテイクを担当する健常学生。ボランティアが多いが、大学によっては対価が支払われることもある

利用者:大学に対して、支援を要望する難聴学生

コーディネーター:障がい学生支援室や学生支援セクションで、仕組みの運用を行う担当者

 

ノートテイク / PCテイク  
良いところ / 便利なところ  

① 大学の聴覚障がい学生支援においては、手話通訳と共に長い歴史があり、そういった大が腕は、運用ノウハウの蓄積がある。また経験のある大学と連携することでそのノウハウを共有することも可能。

 

② 学生間(テイカーと利用者、テイカー同士など)の一体感が生まれる。

 

③ノートテイカー経験者のリアルな声として「責任感が芽生える」「タッチタイピングが早くなる」「他の学部の授業も受けれるので、知見が広がる」などもある。

 

足りないところ / 苦労するところ  

① 経験のない大学が取入れようとする場合、運用の確立までに手間と時間がかかる。

 

② 経験のある大学でも、聴覚障がい学生の増加によってコーディネーターの負担が増える傾向にある。特にテイカーの養成における負担が非常に大きく、進学や卒業による入替えの対応も必要。その為のコストも継続してかかる。

 

③ 利用者が高学年になり、授業に専門用語が増えると、低学年のテイカーでは対応できない場面も出てくる。

 

④ コロナ禍では対面授業の減少により、授業とテイカー、利用者をオンラインで繋ぐという新たな運用方法を構築しなければならない。

 

補聴援助システム「ロジャー」  
良いところ / 便利なところ  

① 初期導入コストはかかるものの、ノートテイク用コストが継続してかかることを踏まえ、長期的視点に立つと逆にコスト減が可能。導入費用に助成金を受けるケースも増えている。

 

② ノートテイクの経験がない大学では、運用の立上げにノートテイクほどのハードルの高さがない。また小中学校から高校年次までにロジャーを利用し、慣れている学生も増えてきている。

 

③ PEPNet-Japan(筑波技術大学様)、PHED(東京大学様)、HEAP(京都大学様)などの障がい学生支援機関では、ノートテイク運用の蓄積同様、ロジャー利用のノウハウや助言を受けることができ、デモ機やマニュアルも用意されている。もちろん、当サイト「ヒアリングエイド・ボルテージ・ドットコム」も、ロジャー大学導入の知見を基に、全面的なサポートが可能。

 

④ 大学で導入実績が多い「ロジャータッチスクリーンマイク」、小規模ゼミ用の「ロジャーセレクト」、2022年1月リリースの最新鋭機「ロジャーオン」、大規模講堂用の「ロジャーデジマスター」など多様な送信機(ワイヤレスマイク)や付属機器が用意されている。どの送信機も携帯性が高く、ノートテイク運用が困難な屋外における支援も可能。

 

⑤ 教育現場で定評のある「UDトーク」や「Google Live Transcribe」などの音声変換アプリとの連携や、各種音響機器などとネットワークを組むことも可能。またオンライン授業に対応できる運用も可能なので、さまざまな状況で、障がい学生に対する合理的配慮が可能。

 

⑥ 難聴学生の立場からすると、ノートテイクと比べて「支援者への遠慮」のハードルが下がる傾向がある。また「ノートテイクでは分からなかった、先生の雑談に対する学生たちの笑いの中身などが分かるようになり、本当に授業に参加できている感覚が強くなった」とのリアルな声もある。

 

足りないところ / 苦労するところ  

① 導入検討が 2~5月の新年度開始前後に集中するため、検討に必要なデモ機や、経験のあるデモンストレーターの確保が大変。

 

② 導入当初は、教員への送信機操作の依頼やトレーニングが必要であったり、授業時の手間が増える事への配慮が必要。

 

③ 支援が機械任せとなり、支援のクオリティのモニタリングがしにくくなる。

 

④ 聴覚障がい学生が増えると、送信機の複数台購入の検討(コスト増)や、1台でどう運用していくかの検討(コーディネーターの負担増)の必要性が生じる。

 

(2022/03/07 執筆 2022/08/14 加筆修正 / 妥当性判断)

 

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