なぜ同じ県内でも、教育委員会によって補聴援助システム「ロジャー」の導入に差があるのでしょうか?

「ヒアリングエイド・ボルテージ・ドットコム」では全国47都道府県 / 1741市区町村の教育委員会へのロジャーの導入状況調査を行っています。

 

現在判明分は

 都道府県 教育委員会   20(導入率43%)

 市区町村 教育委員会 328(導入率19%)

となっています。まずその調査状況を都道府県ごとにまとめてみました。

 

 カウント方法に関する注意点:

  (1)すべての導入事案を把握できている訳ではありません。

  (2)過去導入履歴があるものをカウントしており、現在も利用しているかどうかは分かりません。

     (導入当時の児童 / 生徒さんの進級 / 進学により、現在は使っていないケースもあり得ます)

  (3)児童 / 生徒さんの個人所有のものを使っているケースはカウントしていません。

  (4)東京23区のみ各区教育委員会での導入となります。その他の20政令指定都市では各市教育委員会ごとの導入となります。

 

 表の持つ意味に関する注意点:

  (5)都道府県ごとに導入率を表記していますが、この数値の高い低いに意味はありません。理由は後述します。 

 

都道府県名  合計
全数 導入 導入率 全数 導入 全数 導入 全数 導入 全数 導入
全国 合計  1741 335 19%  792 238  23 9  743  81  183 
北海道 179 20 11% 35 9     129 10 15 
青森 40 14 35% 10 6     22 7
岩手 33 12 36% 14 10     15 2
宮城 35 10 29% 14 5     20 5
秋田 25 4 16% 13 3     9 1
山形 35 4 11% 13 3     19 1  0 
福島 59 4 7% 13 3     31 1 15 
栃木 25 0 0% 14 0    

11

0    
群馬 35 1 3% 12 1     15 0
茨城 44 1 2% 32 0     10 1
千葉 54 6 11% 37 6     16 0
埼玉 63 2 3% 40 2     22 0
東京 62 14 23% 26 5 23 9 5 0
神奈川 33 8 24% 19 6     13 2
山梨 27 1 4% 13 0     8 0
長野 77 4 5% 19 2     23 2 35 
新潟 30 12 40% 20 12     6 0
富山 15 6 40% 10 5     4 1
石川 19 2 11% 11 2     8 0    
福井 17 9 53% 9 6     8 3    
静岡 35 1 3% 23 1     12 0    
愛知 54 14 26% 38 11     14 3
岐阜 42 8 19% 21 6     19 2
三重  29 9 31% 14  8      15 1    
滋賀  19 9 47% 13     6 0    
京都  26 7 27% 15     10 1  0 
大阪 43 17 40% 33 17     9 0
兵庫 41 17 41% 29 14     12 3    
奈良 39 10 26% 12 7     15 2 12 
和歌山 30 8 27% 9 4     20 4
岡山 27 1 4% 15 1     10 0
広島 23 8 35% 14 6     9 2    
鳥取 19 5 26% 4 3     14 2
島根 19 7 37% 8 5     10 2
山口  19 5 26% 13 4     6 1    
香川  17 5 29% 8 3     9 2    
徳島 24 14 58% 8 7     15 7
愛媛 20 12 60% 11 11     9 1    
高知 34 8 24% 11 6     17 1
福岡 60 9 15% 29 7     29 2
佐賀 20 0 0% 10 0     10 0    
長崎 21 4 19% 13 2     8 2    
大分 18 3 17% 14 3     3 0
熊本 45 13 29% 14 7     23 4
宮崎 26 2 8% 9 0     14 2
鹿児島 43 0 0% 19 0     20 0
沖縄 41 5 12% 11 4     11 1 19 
                       

 

まず誤解していただきたくないのは「導入率が低いからといって、その都道府県の教育委員会の、難聴児や生徒に対する支援の意識が低いわけではない」ということです。

 

各教育委員会がロジャーの導入をのご判断をされるまでには、

 (1)保護者の方や学校現場サイドからのご要望

 (2)各地域の医療機関、特別支援学校からのご提言やサポート

 (3)各地域のロジャー取扱い店舗(補聴器販売店)からのご提案

などいろいろな要素が絡んでいます。一概に教育委員会サイドの問題だけではないと考えております。どちらかというと、我々サイドのご提案不足、啓蒙不足があり、申し訳なく思っております。

 

児童さん個人所有のロジャーを使っている学校現場の先生からは

 「新任でロジャーのことは詳しくないのだが、児童の所有のものなので遠慮があって積極的に使えない」

 「前任の学校では教育委員会でロジャーを導入していたが、ここの教育委員会では上申しても却下される。

  同じ都内なのに、区によって対応が違うのは不思議だ」

 「ロジャーは高いので、保護者さんが自治体に申請しても、なかなか助成が下りないと聞いています。

  そういう時に学校側でロジャーがあれば、と泣きつかれています」

 「え? ロジャーって学校で買うケースもあるんですか? 知りませんでした 多分教育委員会の方も同じ認識だと思います」

などの声が届いています。

 

以下は、以前別の記事「教育委員会における 補聴援助システム「ロジャー」導入時に大切なこと」で書いたことです。

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ロジャーは買って、(難聴児童に)与えれば済むといった簡単な製品ではありません。

難聴児(および親御さん)本人の方がまず必要性を感じ、先生方へのマイクの受け渡しなどの面倒をかけても、使用したいと思うか?

教員の方はマイクの装着位置や、教師の発問に対して答える子ども達の声を、どうロジャーに取り込むか、

充電は誰がどこでするのか等など綿密な購入前打ち合わせが必要です。

「買って与えたから合理的配慮は済んでいる」という簡単な事ではないということを配慮の要求者(難聴児や親御さん)にも、回答者(教育委員会や学校の教員の方々)にも、深いご理解をいただきたいと、私どもでは考えています。

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要は、教育委員会、小中学校の現場、地域の医療機関、地域の特別支援学校、自治体の福祉担当部署、地域のロジャー取扱店、私どもメーカーが情報を共有し、連携することで、難聴児の保護者さまのご負担を少なくし、難聴のお子さまのQOL(Quality of life)の向上を目指せるような社会にしていくのが、理想的と考えております。つまり「大人がみんなで協力して、難聴のお子さまが楽しく学校生活が送れて、将来、高校、大学、社会人になっても自立した生活が送れるようにしたいですね」ということです。それだけロジャーはお役に立てる機械という自負があります。

 

下に、簡単にそれぞれの組織や関係者の目指すところをまとめてみました。

ここでは図をシンプルにするために「都道府県 教育委員会」を省いていますし、各地域の組織では細かい部分は異なることもあるかとは思いますが、ご容赦ください。

お困りになられている保護者の方や、現場の先生方に「どんなことをどこに対して、どのような声を上げて動いていけばいいか」の参考にしていただければと思います。

現場によってケースバイケースとなりますので、ぜひご相談ください。

 

 

(2023/05/31 執筆)

 

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