【2023年最新】ネックループとマルチメディアハブが急伸! ろう学校や聴覚支援学校における補聴援助システム「ロジャー」の機種別導入シェア

日本全国には107のろう学校 / 聴覚支援学校がありますが、そのうち 9割弱に上る91校で「ロジャー」が導入されています。(2023年4月現在)個人利用のロジャーも含めると、ほぼ全ての学校でロジャーが利用されています。他にも発達障がい対応の支援学校も含めると98校でロジャーが使用されております。

 

なお学校の名称は「ろう学校」「聾学校」「聴覚支援学校」「特別支援学校 聴覚部」などさまざまですが、本記事では「ろう学校など」と表記します。

 

聴覚障がい児童、生徒さんが通うろう学校などでは以前から、多くのロジャー機器が導入されています。
今回は昨年度に大型導入があった学校(複数校)における機種のシェアを紹介して、導入の最新トレンドを見てみましょう。

なお学校名、導入数量は非公表といたします。あくまでも導入数に対する個別機種の割合をみるという視点で参考にしてください。

 

全導入数に対する各カテゴリーの割合
 送信機  25%
 受信機  45%
 周辺機器 21%

 DSF    9%

 

送信機は安定の「タッチスクリーンマイク」「パスアラウウンドマイク」

従来からの流れと変わらず、先生がメインで使うタッチスクリーンマイクと、生徒さんたちがサブで使うパスアラウンドマイクが主流です。大学などでは、個別対応のためにセレクトやオンの導入も増えてきました。ろう学校などでも少人数対応だったり、通級指導だったりの場面で、セレクトやオンの導入もみられますが、まとめて導入するケースではその傾向はありません。

送信機の全導入数に対する各機種の割合
 タッチスクリーンマイク 52%
 パスアラウンドマイク  47%
 セレクト           1% 


 

受信機では、新たなトレンドの「ネックループ全員配布」

今回もっとも特徴的な部分です。従来、受信機の導入は個別対応の域を出ませんでしたが、今回の調査では「ネックループを全生徒に使ってもらう」という傾向になっています。ネックループは国内で流通するほぼ全ての補聴器 / 人工内耳に対応できる汎用受信機です。

もちろん受信機は個々の補聴器 / 人工内耳に対応している機種がありますので、自己所有の受信機を使うケースもあるのですが、ロジャーを初めて使う児童さんや生徒さんにも使っていただけるという、素晴らしい傾向だと思います。

なおネックループは首から下げた時に揺れたりするので、学校ごとに、そうならないような工夫をされている事例も見受けられました。また中等部や高等部のある学校などで、UDトークのような音声文字化アプリを利用している場合はタブレットとの連携などにも有効です。

受信機の全導入数に対する各機種の割合
 ネックループ 94%
 フォーカスⅡ    5%
 エックスなど    1%  



 

周辺機器でも新しい傾向の「マルチメディアハブによる教室ICTとの連動」

ここにも一つのトレンドがみられます。「マルチメディアハブ導入の増加」です。マルチメディアハブは、TVや音響機器の音声を飛ばせるという機能を持っており、比較的個人ユーザー向けに使われていたものですが、ここへ来て教育現場でもICT化が進み、PCやタブレットを音響機器に繋いだりして授業を行うケースも増えています。

従来はロジャーのマイクをスピーカーのそばに置いて音声を拾ったり、マイクを直接音響機器の出力端子に繋いだりしていましたが、マルチメディアハブを繋ぐことで、雑音やハウリングの抑制、メインのタッチスクリーンマイクとのミキシングもできるようなりました。ろう学校などでも、その多機能性により、導入が増えたものと思われます。ある先生は「以前は学校に1台しかなくて先生同士で取り合いでしたが、今回各教室に1台ずつ導入されて助かってます」と仰っていました。

また「ウォールパイロット」は安定した導入状況です。教室の入口で簡単にペアリングができるウォールパイロットは、教育機関のなかでも特にろう学校に特化された製品です。一方「リピーター」は比較的小さい教室が多く、大きな講堂も少ないろう学校などでは、ニーズは少ないようです。

周辺機器の全導入数に対する各機種の割合
 ウォールパイロット  54%
 マルチメディアハブ  44%
 リピーター        2%




 

DSF(デジタル サウンド フィールド)はろう学校などでの導入が多い

線音源スピーカーの「デジマスター」です。大学や教育委員会(小 / 中 / 高等学校)よりろう学校などでの導入が多いものです。ろう学校などでは、自立支援室などでお使いいただくことが多いようです。教室の広さによって、5000 V2と7000 V2がありますが、比較的小さな教室が多いろう学校などでは、5000 V2の需要が多いようです。

2022年に従来機から、ICT機器とのネットワークが組めるようになったV2にバージョンアップされましたが、やはり昨今の教室ICT化を受け、買替えも進んでいるようです。

ある先生は「子どもたちはデジマスターの周りをぐるぐる回るのが大好きで、倒したら大変とハラハラしてます。でも子供たちが本当に楽しそうなので、注意しながら見守っています(笑)」と仰っていました。

DSFの全導入数に対する各機種の割合
 デジマスター 5000 V2 86%
 デジマスター 7000 V2 14%
 (三脚や壁掛けキットなどのアクセサリーは含めず) 


 

今後の展望 ~ 発達障がい(ASD / ADHD)/ 聴覚情報処理障がい(APD)の生徒さんへの対応 ~

 

大学など、いろいろな障がいをもつ学生さんに対応する現場では、ロジャーがAPD、ADHDなどの学生さんの授業支援に効果がある事例も増えています。ろう学校など以外の特別支援学校で、そういった生徒さん向けにロジャーを導入したり、通級指導や地域の学校や親御さんとの情報共有でロジャーを導入するケースも徐々にではありますが、見受けられるようになってきました。

 

ご興味のある方は個別にご説明しますので、こちらからお問合せ下さい。 


(2023/04/08 執筆)

 

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