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【事例検証】学校で使うロジャーを教育委員会から支給されているが、家でも使いたいので自治体からの助成が欲しい(徳島市の事例)

 

当サイトには大勢の難聴児の親御さんからのご相談をいただきます。そのなかで、重度難聴の中学生のお子さまをお持ちのお母さまから、ロジャーの自治体への助成申請に関するご相談をいただきました。メールのやりとりを、抜粋にてご紹介します。最後にいただいたレポートもご紹介します。長いですが、じっくりとお読みください。

 

2022/5/23 M さん ⇒ 当サイト

小野さん、はじめまして。 

子供(重度難聴・中学生・通常学級)がおり、総合支援法によるロジャー受信機の申請に四苦八苦している真っ只中です。 貴サイトでもご紹介の補聴システム先進県の「徳島県」に在住しておりますが、教育委員会の貸与制度が充実(?)しているおかげで、総合支援法によるロジャー関連の支給にとっても消極的です。自治体は二重助成はできないからとの言い分です。私は「2台助成してほしい」とは言っておらず、学校外でも使いたいから「補装具費で支給してほしい」と言っているんですがね・・・。 

 

アドバイスがほしいというより、小野さんなら私の愚痴を分かってくれるはず。そんな気持ちで書いてます。

 

5/23 当サイト ⇒ M さん 

この度は熱いメッセージをいただきまして、ありがとうございます(笑) 調査通り「徳島県は安心」と思っておりましたが、逆に M さんのようなお悩みも、おありなんですね。正論で言えば、教育委員会への助成と、個人への助成は別物だとは思うのですが。。。 ロジャーの助成に慣れているはずの徳島県の職員さんが相手なので、逆に手強いですよね。 私の方でも、問題打開のルートやアイデアを考えてみます。 お子様のためにも、一緒にがんばりましょう!  

 

(この間で細かい情報のやり取りが数往復ありましたが、割愛します)

 

5/24 M さん ⇒ 当サイト

徳島市は、小中高学校が各教委に要求して貸与されるパターンがほとんどで、補装具としての支給はあまり事例がないようです。また、県内の軽中等度の助成制度は受信機は非対象です。 補装具支給の窓口である徳島市障害福祉課(以下【市】)で、ゆっくり前向きに検討されている状況を簡単にまとめてみました。 

 

【市】 市の教育委員会から学校に貸与される受信機でダメですか? 

【当方】購入希望の補聴器(スカイマーベル、ロジャーダイレクト)に対応した受信機を現時点で市教委が保有してないから

    ダメですね。 (市教委に納入している補聴器販売店に確認済み。) 

【市】 貸与する受信機に対応した補聴器を購入できませんか? 

【当方】5年前に買った今の補聴器と同じものになりますね。修理対応期間短くなりますがいいですか? 

【市】 あぁ、そういうことでしたか。 

【市】 教育上必要と認められなければ、補装具として支給できないです。学校外で教育上必要なのはどんな場面がありますか? 

【当方】塾とか部活とかがありますね。 

【市】 送信機は何を使ってますか? 

【当方】学校内は市教委からの貸与品。学校外は自費で買ったものです。 

【当方】今回、高度用補聴器に受信機だから慎重になっているのでしょうか? 

【市】 重度用補聴器に受信機でも同じです。 

  

なお、前回の人工内耳に受信機の時は支援学校に在籍しており、校内のループシステムでは不十分だからという理由で支給されました。 前回も今回も『子供たちのため』という感覚はないようです。 後に続く人のために、前例を作ることが私の使命と思い、気長にやりますので、お力添えよろしくお願いいたします。 

  

5/29 M さん ⇒ 当サイト 

度々すみません。申請状況等ご報告いたします。   

◆ロジャー受信機の補装具申請について 

市担当課より 

 市教委がロジャーダイレクトに対応したロジャーエックスをすぐに用意できないから、 

 特例補装具として支給できるよう手続きする。 

と回答を得ました。

  

さらに、特例舗装具として扱う理由を教えてほしいこと、 市教委の貸与制度とは別で判断してほしいことを伝えました。 

それらに回答があれば報告いたしますので、聞いてください(笑)。 

 

9/4 M さん ⇒ 当サイト

今日は報告2点とお礼です。 

  

【報告1】 

無事にロジャー受信機(ロジャーエックス)の支給が決定しましたこと、ご報告します。結果は、ポイント2つです。 

・教育委員会から貸与できないから、支給法での支給となった 

・4月の告示改正で、ロジャーは特例ではなくなった

 (今回特例になったのは補聴器が高度難聴用のため) 

  

【報告2】 

中学校でもオンライン授業(マイクロソフトの teams)が検討されており、夏休みにオンライン学活として試験的に行われました。 teamsの日本語字幕表示と、ロジャー接続で、問題なく聞き取れたようです。 

ロジャーの接続の仕方、電波干渉など、分からないことが多々ありましたが、貴サイトを参考にクリアできました。 

無断で画像を拝借しまくりの備忘録ですが、ご参考まで。(別添) 

  

たくさんの情報提供、アドバイスありがとうございました。 

これからもよろしくお願いします。  

 

 

M さんよりのレポート

■支給対象者

・市立中学校の通常学級に在籍する2年生

・重度難聴(手帳3級)、中途難聴

・右耳に補聴器、左耳に人工内耳を装用中

・今回、右耳の高度難聴用補聴器とロジャー受信機について補装具費支給の申請を行った。

・補聴器は、高度用と重度用を試聴のうえ、本人の希望により高度難聴用補聴器【フォナック スカイマーベル M30-SP】を申請した。

  参考記事:障害者総合支援法 対応補聴器 フォナック製 成人用ナイーダ / 小児用スカイ(2022年10月現在 最新)

       障害者総合支援法対応 フォナック製 小児用補聴器「スカイ」カラーコーディネイト(77通り)

 

・補聴援助システム「ロジャー」は、既に送信機(ロジャータッチスクリーンマイク)(自費)と人工内耳用受信機(ロジャー20)(支援法)を所持しているため、ロジャー受信機【フォナック ロジャーエックス】を申請した。

・なお、スカイマーベル補聴器にロジャー受信機機能をインストールするためには、シリアル番号が 1744xxxx 以降のロジャーエックスが必要である。 

 

    現行所持品 今回申請品
右耳  補聴器 高度難聴用 耳かけ型(助成事業) スカイ マーベルM30-SP(支援法)
受信機 ロジャー18(自費) ロジャーエックス(支援法)
左耳 人工内耳 コクレア社 人工内耳 Nucleus 7(育成医療) → 継続使用
補聴器 ロジャー20(支援法) → 継続使用
共通 送信機

ロジャータッチスクリーンマイク① (自費)

 学校・家庭で使用

ロジャータッチスクリーンマイク② (教育委員会より貸与) 

 学校のみで使用

ロジャーパスアラウンドマイク (自費)

 学校のみで使用

 

→ 継続使用

 

■申請時に提出したもの

 ・医師の意見書(補聴器、ロジャー受信機)

 ・特例補装具の意見書(ロジャー受信機)

 ・騒音下における補聴援助システム「ロジャー」の有用性データ

  (受信機なしに比べて受信機ありの方が単 語の聞き取りの正答率が高い)

 

■支給決定となった理由

 ・補聴器は、医師の意見書

 ・ロジャー受信機は、医師の意見書のほか、学校生活において必要性が認められるため

  また、教育委員会の貸与制度では当面の対応が難しいため

 

■ロジャー受信機が特例補装具の扱いとなった理由

 ・高度難聴用耳かけ型補聴器の受信機であるため

 ・一方、デジタル式であることは特例理由ではない(令和4年度告示改正以降)

 

■ロジャー受信機が支給決定されるまでの紆余曲折

 ・申請から支給決定まで約2か月間の紆余曲折について要点を時系列に整理する

  市担当者や補聴器販売店から電話で聞いたことなので正確でない点もあるだろう

 

 ①教育委員会の貸与制度を利用すればよい  → 支援法では支給しない

  ・教育委員会の貸与制度があるから支援法では支給しない

  ・貸与制度があるから、支援法の申請を取り下げた(取り下げさせた?)事例もある

  →【意見申し立て】教育委員会の貸与制度では日常生活に支障がある

  ・貸与制度で貸与される受信機は学校外での使用は認められていない

  ・補聴援助システム「ロジャー」は学校外でも使用しており、塾・習い事(週 1 回)、部活動(週 1 回)、

   校外学習、イベント参加、友人と遊ぶ、通院などで使用するので、支給されなければ 日常生活に支障がでてくる

 

 ②学校外では教育上必要な理由がない → 支援法では支給しない

  ・重度難聴者に対してロジャーを支給した(徳島市の)事例を調べたところ、

   過去に学 生(高校生?)で1例あったが、学校外でも教育上必要な理由があると認められて

   支 給されたものであった。社会人は事例がなかった

  ・習い事(週 1 回)、部活動(週 1 回)程度では、学校外でも教育上必要な理由がある とは認められない

 →【意見申し立て】本当に教育委員会の貸与制度で対応できるのか

  ・学校外においても使用は認められるのか

  ・スカイマーベルに対応するロジャーエックス(シリアル番号が 1744xxxx 以降)が貸 与されるのか

 

 ③教育委員会の貸与制度では当面の対応が難しいことが判明 →支援法で支給する

  ・現状、市の教育委員会では、旧型エックス(シリアル番号が 1744xxxx より前)しか保有していない

  ・教育委員会で購入を検討したが、2つの理由から難しいと判断された

    対象者が中学2年生であり購入しても2年間しか使用されない

    旧型エックスの在庫(貸出待ち)が3個あるため新たな購入の説明が難しい

  ・貸与制度では当面の対応が難しいことが判明したから、支援法で支給する

 →【意見申し立て】支給されることになったが、支給に至るまでの判断は間違っている

  ・教育委員会の貸与制度はすばらしいが、貸与制度があるからといって、

   支援法の支給 を却下したり申請を取り下げさせたりする理由にはならない

  ・補装具の支給数は原則として1種目につき1個とされているが、

   例外として補聴器 は、職業上、教育上両耳装用が必要と認められた場合は2個支給できるとされている

  ・受信機は、2年前に左の受信機(人工内耳用)が支給され、今回は右の受信機(補聴 器用)であるから2個目になるが、

   対象者は中学2年生であり、「教育上必要であ る」ことは明らかである

  ・「学校外では教育上必要な理由がない」から支給法で支給できないとする意図も分か らない

 

■保護者の所感(今回の申請を通して保護者として思ったこと)

 ・聞こえないことが理解されていない

  ・補聴器や人工内耳を装用すれば聞こえると誤解されている

  ・難聴の程度や人によって必要な物・手段が違うことが理解されていない

 

 ・教育上必要って何だろう

  ・中学生だから。それ以上に教育上必要な理由があるのだろうか

 

 ・教育委員会の貸与制度はすばらしい

  ・障害者手帳を持たない一側性や軽中等度の難聴児までの対象としたすばらしい制度で ある

   “徳島県の難聴児が在籍する学校における補聴システムの普及率は全国一位で100%である。” には、

   相違はないし、制度自体を否定するつもりは全くない

 

 ・教育委員会の貸与制度を優先し支援法による支給を却下は本末転倒

  ・徳島市における補聴器や補聴システムの助成制度は表のとおり

 

徳島市における助成制度まとめ

難聴の程度  補聴器

補聴援助システム「ロジャー」

(受信機 / ワイヤレスマイク)

支援法

1割負担

助成事業

3割負担

貸与制度

負担なし

支援法

1割負担

助成事業

3割負担

貸与制度

負担なし 

一側性難聴など

(支援法より優先)

軽度難聴 〇 手帳なし
中等度難聴
高度難聴

〇 手帳なし

✕  手帳あり

△ 特例補装具
重度難聴

 

  ・【表のピンク部分】重度難聴児に限れば、受信機やワイヤレスマイク(ロジャー)は、

   支援法による 支給(自己負担1割)と教育委員会からの貸与制度(自己負担ゼロ)との

   2つの制度 を利用することができる。

  ・徳島市では、特に理由もなく貸与制度を優先する運用をしてきたようであるが、

   貸与 制度を優先して、支援法の支給を認めなければ、学校外でロジャー(受信機やワイヤレスマイク)を使用する

   重度難聴児は全額自己負担で賄う必要がある。

  ・貸与制度を絶対的なものと賛美するあまり本来の支援制度を見失っているとしか思え ない。本末転倒である。

  ・2つの制度について、どちらかしか利用できないのではなく、それぞれ必要に応じて 運用をすべきである。

  ・補聴援助システム「ロジャー」の場合、受信機は補聴器や人工内耳の本体と一体化して使用するもの であるから、

   支援法や助成事業での支給が望ましい。

   一方、送信機は話者が使用する ものであるから、学校で使用するものは貸与制度で、

   学校外で使用する場合は支援法 や助成事業の支給が望ましいと考える。

 

 ・助成事業(又は支援法)で補聴援助システム「ロジャー」も助成されるべき

  ・【表の黄色部分】軽・中等度難聴児は、受信機、ワイヤレスマイクは助成事業の対象 になっていない。

  ・校外で使用するために購入すれば、受信機(92,000 円)×両側(2 個)+送信機 (128,000 円)=312,000 円が

   全額自己負担となる。

  ・軽・中等度難聴児であっても騒音下での聞き取りは不十分であるから、

   補聴援助システム「ロジャー」 (受信機、ワイヤレスマイク)が対象となるよう助成事業を拡充すべきと考える。

 

 ・通常学級の難聴児には調整役が存在しない?

  ・特別支援学校や特別支援学級に在籍していれば、在籍校の教員等が医療機関や教育委 員会との調整を行うが、

   通常学級にはそのような先生が登場しない。

   今回の申請にあ たって、保護者が福祉部局、大学病院、聴覚支援学校、補聴器販売店とやり取りする 必要があった。

   代わりとなる調整機関があればよいと思う。 

 

 

以上、お読みくださりありがとうございます。当方の思い入れ(思い込み)が強すぎ て、まとめるのに時間がかかってしまいました。後に続く誰かのためになれば幸いです。

 

 

9/4 当サイト ⇒ M さん  

いただいたメールの内容と、添付の資料2件を拝見して、 鳥肌が立ち涙がにじみました。 

 

本当に良かったです。 

粘り強く役所や学校と交渉を続けた、M さんの努力の結晶ですね。 

当サイトとしても微力ながらお役に立ったのであれば、こんなに嬉しい事はありません。 

 

いただいた内容や、資料を当サイトでも公開させていただき、 M さんが「 後に続く誰かのためになれば」と仰るように情報を発

させていただきたく思います。 

 

 

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